令和4年中の施行が予定されている会社経営に関する重要な法改正を、施行月ごとに整理します。
給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代が広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するための、諸制度の改正が行われます。
(1) 傷病手当金の支給期間の通算化
傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給が受けられるよう、支給期間の通算化を行います。
(2)任意継続被保険者制度の見直し
任意継続被保険者の保険慮の算定基礎の見直しや、被保険者からの真正による資格喪失が可能となります。
(3)健康診断情報の活用促進
保険者は、被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うに当たって必要があると認めるときは、被保険者等を使用している事業者等に対し、当該事業者等が保存している当該被保険者等に係る健康診断に関する記録の写し等を提供するよう求めることができることとなります。
65歳以上の者が兼業・副業をしている場合、複数の事業所の労働時間を合算して、高年齢被保険者となることができるようになります(雇用保険法37条の5第1項)。
「放送同時配信」の定義付けや関連規定が整備され、放送同時配信等における著作物等の利用が円滑に行うことができる措置が講じられます。
民法における成年年齢は、従前は20歳だったところ、これが18歳に引き下げられます。
また、女性の婚姻開始年齢は16歳と定められていたところ、18歳に引き上げられ、男女の婚姻開始年齢が統一されます。
一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から、101人以上の事業主に拡大されます。
開示請求のデジタル化を認めること(個人情報保護法28条2項)や、利用停止請求権、消去請求権、第三者への提供禁止請求権の要件緩和(個人情報保護法30条5項)などによる権利保護強化と、仮名加工情報についての事業者の義務の緩和(個人情報保護法35条の2)など、データの利活用促進に関する改正が行われます。
事業主は、育児休業を取得しやすくするための研修の実施等を措置しなければならないことになります(育児介護休業法22条)。
また、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置が義務付けられます(育児介護休業法21条)。
さらに、従前、有期雇用労働者が育児介護休業を取得するためには、「引き続き雇用された期間が1年以上」であることが要件とされていましたが、これが撤廃されました(育児介護休業法5条1項)。
既述のとおり(https://takahira-law.jp/news/141/)、職場におけるパワーハラスメント防止対策を講じることが、中小企業についても義務化されます。
株主総会資料の電子提供制度、上場企業等を対象に取締役の報酬等の決定方針を定めることの義務化、社外取締役の設置の義務化などが始まります。
働く人が自ら出資して運営に携わることができる「協同労働」という新しい働き方を実現する法律が施行されます。組合員が出資、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とするものです。
特定適用事業者の要件の引き下げが実施され、「常時100人」以上の企業が適用対象となります。
以上