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下請法から取適法に②

2026年3月10日 / 法律コラム

Q1 今回の取適法改正の『本当の狙い』は何ですか?

取適法は、委託事業者の中小受託事業者に対する取引の公正を図るとともに、中小受託事業者の利益の保護を通じて、国民経済の健全な発達を図ることを目的としています(取適法1条)。単なる支払遅延の防止にとどまらず、最大の狙いは、サプライチェーン全体での『構造的な価格転嫁』を定着させることにあります。価格や支払条件は、現場判断ではなく、組織としての対応方針が必要です。

Q2 『価格据え置き』も問題になるのですか?

中小企業受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり必要な説明を行わなかったりするなどして価格を据え置くことは、取適法違反となる可能性があります(取適法5条2項4号)。結果的に価格を据え置く場合でも、協議の経緯を説明できるようにしておく体制整備が重要です。

Q3 『協議に応じない』とは、どのような場合を指しますか?

協議の申入れを無視する、回答を先延ばしにする、根拠を示さず結論のみ伝える、必要な資料提供を行わないといった対応は、実質的に協議を行っていないと評価される可能性があります(取適法5条2項4号)。そこで、メールや議事録で、協議内容を残しておくことがリスク管理につながります。

Q4 手形払いは禁止されるのですか?

手形払いは禁止となります(取適法5条1項2号)。支払期日までに代金相当額を現金で得ることが困難であり、中小受託事業者の資金繰りを不当に圧迫するためです。支払方法が実質的に現金と同等かを必ず確認しましょう。

Q5 電子記録債権や一括決済方式は使えますか?

形式が手形でなくても、支払期日までに代金相当額を現金で得ることが困難な支払手段は使用できません(取適法5条1項2号)。金融機関のしくみ任せにせず、実際の資金化時期を確認しましょう。

Q6 支払期日について、改めて注意すべき点は何ですか?

委託事業者は、検査の有無にかかわらず、給付を受領した日から60日以内、かつできる限り短い期間で支払期日を定めなければなりません(取適法3条1項)。社内承認フローが支払遅延の原因になっていないかなどの見直しが重要です。

Q7 代金を減額した場合も遅延利息は発生しますか?

中小受託事業者に責任がないにもかかわらず代金を減額した場合、減額した額についても14.6%の遅延利息の支払義務が生じます(取適法6条2項)。後出しの値引きは、法的リスクが高い対応です。

Q8 物流・運送分野では、どのような点に注意が必要ですか?

特定運送委託も取適法の対象取引になります(取適法2条5項)。運賃について協議を行わない、一方的に条件を変更するといった行為は問題となる可能性があります(取適法5条2項4号)。運送条件の見直しも価格協議として整理しておく必要があります。

Q9 行政の執行体制はどのように変わりましたか?

公正取引委員会に加え、中小企業庁や事業所管省庁も委託事業者に対する指導・助言を行うことが可能となり(取適法8条)、相互の情報提供体制も整備されています(取適法13条)。業界全体での是正が行われる可能性を意識する必要があります。

Q10 違反した場合、どのような措置が取られますか?

違反行為が認められた場合、是正や原状回復を求める勧告が行われ(取適法10条)、一定の義務違反については50万円以下の罰金が科されることがあります(取適法14条)。公表リスクを含め、レピュテーションへの影響を考慮すべきです。

Q11 委託事業者はどの点を見直す必要がありますか?

価格決定に至る協議のプロセス、説明や情報提供の有無、支払方法の実質が重要です(取適法5条2項4号)。契約書だけでなく、運用実態も確認しましょう。

Q12 今回の改正を一言で表すと、どのような法律ですか?

取適法は、『価格交渉を行わないこと自体がリスクとなる法律』といえます。取引慣行の見直しが強く求められています。価格交渉は、法務と営業が連携して対応すべきテーマです。

以 上