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過労死に関する労災認定の改正基準

2022年9月30日 / 法律コラム

 

脳・心臓疾患の労災認定基準の改正を受けて、いわゆる過労死に関する労災認定について、従前の判断を覆して労災認定を行うという事例が相次いでいます。
令和3年12月には、柏労働基準監督署において、いったんは過労死ラインに満たないとして労災認定されなかったケースについて、不規則な深夜勤務があったことなどを理由に、判断を覆して労災認定するに至っています。また、令和4年9月には、同様に、空調設備のない高温多湿の中で作業していたことなどを理由に、労災認定するに至っています。

厚生労働省は令和3年9月、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました。(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/090316_00006.html)。
変更のポイントは、労災認定基準の考え方それ自体に変更はないものの、労働時間以外の負荷要因を総合評価して判断することを明確化した点です。

つまり、これまでの過労死に関する労災認定基準は、

① 発症前の時間外労働が、月45時間を超えて、長くなればなるほど、業務と発症との関連性は強まる
② 発症前の時間外労働が、直近1か月で100時間又は直近2~6か月で平均80時間以上の場合、業務と発症との関連性が強いと判断される

というものでした。

今般の改正では、上記②の水準には至らないけれども、それに近い時間外労働の行われていた場合で、一定の負荷要因が認められる場合、業務と発症との関連が強いと評価することが明示されました。
また、労働時間以外の一定の負荷要因として、

・勤務時間の不規則性
・事業場外における移動
・心理的負荷
・身体的負荷
・作業環境

などの事情が追記されました。

つまり、直近1か月で100時間を超えておらず、直近2~6か月で平均80時間を超えていなくても、一定の負荷要因がある場合、労災認定がなされる可能性があるということです。

労働時間の適切な把握、管理は当然のこととして、業務量、業務内容、作業環境等の労務管理が必要になります。

以 上